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エマソン『自己信頼』”自己啓発の元祖”にして普遍的名著をインストールする消えかけの魂への処方箋

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(((圧倒的な力強さに魂が震えた)))
 
たった100ページほどの文章にねじ込められた猛烈な熱量。この世の生けるものへの真っ直ぐな眼差しと愚直なまでの愛に、時代の大波に飲み込まれまいと内側を向きかけていた魂が、自然と前を向きはじめる・・・
 
著者のラルフ・ウォルドー・エマソン(Ralph Waldo Emerson)は19世紀のアメリカ人思想家である。8人兄弟という大家族の家に生まれたが、8歳のときに実の父が他界。また、若いうちに3人の兄弟を失っている。エマーソンはハーバード大学を卒業後、牧師になる夢を捨て、家計を支えるためにドイツの神学校にて教鞭をとる。しかしこの頃にさらに2人の兄弟が亡くなるという悲劇的な青年時代を過ごした。後にハーバード神学校に入学し、念願の牧師になる。しかしわずか三年後、信仰の自由を唱え協会を追われてしまう。思想家として数多のエッセイを書き上げ、米国中で1,500以上の公開講義をおこなったエマソンは、演説家としても高い評価を得ている。今回紹介する『自己信頼』は、彼の最初の論文「エッセイ 第一集 (Essays: First Series)」に含まれている。
 
世の中には様々なアプローチの自己啓発本が存在する。しかしエマソンの『自己信頼』は、それらの根底に流れるエッセンスであり、一線を画す存在と言っても過言でない。ニーチェ、ソロー、福沢諭吉、宮沢賢治を始めとした偉人たちにも読み継がれ大きな影響を与えている。自分を唯一無二の存在として信じることを説き、内なる生命の灯火をブーストしてくれる『自己信頼』は、これからも時代を超えて読まれていくのだろう。
 
1時間ほどで読み切ってしまったのだが、気付けば付箋だらけになっていた。付箋が貼られた箇所の中でも、エマソンの鋭い視点と言葉が素晴らしい「名言」を貼り付けておくので、良ければ見て行ってください。1841年に書かれた文章だということを感じさせない時代を見通すその的確さと普遍性に驚くはず。
 「社会が前進することはない。ある部分が進めば、別の部分が後退する。社会はたえまなく変化している。未開の社会が文明化したり、キリスト教化されたり、豊かになったり、科学的になったりすることはあるが、こうした変化は改善とはいわない。何かが与えられるたびに何かが奪われるからだ。新しい技術を獲得したら、古い本能が失われる。
「なぜいつも分別を持っていなければならないのか。公の場で述べたことと矛盾するまいと、なぜいつまでも記憶の屍を引きずりまわさなければならないのか。仮に矛盾したとして、それがなんだろう。記憶だけに頼らないこと、たとえ記憶がはっきりしているときでも、なるべく頼らないようにすること、常に現在の視点から過去を徹底的に検証し、日々を新しい一日を生きること、それこそが賢明な態度だと思われる。
「一枚の絵は私の意見を待っているのであって、絵が私に指図しているのではない。賞賛を求める絵に対して、私がどうするかを決めるのだ。」
人格は常に必然によって獲得される。それはいわば生きた財産であり、たとえ支配者、暴徒、革命、家事、嵐、破産といった脅威にさらされなくても、その人が生きている限り、脱皮をくりかえしながら成長していく。
「私達は吟遊詩人や賢人たちが放つ、目もくらむような輝きよりも、自分の内側でほのかに輝いている光を見つけ、観察すべきだ。

 

この本に出会わせてくれた人に感謝。

 

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