天丼リミックス - thridWaveNeet

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映画の感想について考えてみると面白い。リメンバー・ミーの話し。

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(https://twitter.com/tonkohouse/status/977700593648025600?s=21)

エンドロールが終わって、劇場が明るくなった時の印象をポッと口にする人が多いと思う。自分もその一人で、観た直後の自分の気持ち以外のことは考えずに、良い映画だと感じたらストレートに「よかった」と言う。その一言に全てが要約されている。だからそのあと帰り道や近くのカフェで話しをすると、すごく感動したとか、共感できたとか、カッコよかったとか、綺麗だったとか、実はいろんな人がいろんな基準で映画を観ていたことが明らかになる。そして意気投合することもあれば、水掛け論みたいな結末が待ってるかもしれない。

アカデミー賞は1年に一度、その年で最も評価に値する映画を選ぶ。選ぶのはアカデミー会員で、映画界に貢献してきた人達だ。彼らが選ぶ映画は一本だけではない。これがよくよく考えると面白い。当たり前になってしまっている事だけど、たくさんの映画が様々な賞を受賞する。つまり、「よかった」映画はたくさんあっていいという事なんだと思う。作品賞、視聴覚効果、衣装、音楽、など色んな基準で「よかった」と感じた映画が選ばれるからこそ、制作される映画の幅も広がりを持つ事ができる。

だからという訳じゃないけれど、星いくつ、みたいに評価をするのはすごいナンセンスだと思っている。それぞれの媒体を使う人達だけに向けた知名度比べくらいの意味しかないんじゃないかな。

「しっかりと物語を伝えてくれる作品」は、個人的に好きな映画の基準だ。映画というメディアが持つ宿命をまっとうしている気がするから。そんな基準で「リメンバー・ミー」はすごく「よかった」

ぼくたち人間は、人生というよくわからないものに挑戦したり、嘲笑ったり、ときに翻弄されたりして、ハッピーにもなるし死にたいくらい悲しい気持ちになったりする。このぼくたちと人生の関係性は普遍的なもので、狩猟採集をしてた時から、今に至るまでその根本は変わらない。そしてそこには物語(ストーリー)がある。生の数だけ物語があって、人生との切っても切れない不思議な繋がりの中で起きた、幸せや悲しみを他者と共有する。そのいくつかは友達、家族、国を超えてみんなの心に突き刺さる力をもつ。

そんな物語に身を任せ、心のままに感じること。それは不条理なほどのスピードで過ぎてゆく日常と一心不乱に対峙している束の間の「至福の時間」だと感じる。納得したりしなかったり、反応はそれぞれだけど、周囲を巻き込みながら可能な限りを尽くして「1つの物語」の伝わるカタチを探求した映画は、だいたいエンドロールの5分くらい前から「よかった」って心が叫んでる。

ストーリーを語ること。その素晴らしさをしっかり感じる映画を観た。